「えー、もう行っちゃうのー?」
「あのな、お前のせいでもうバス3本遅らせてるんだぞ?」
「だって、梁と遊ぶの久し振りなのに!!」
うぅ〜〜っと小さく唸るような声をあげながら、玄関でスニーカーを履こうとしてる幼馴染のシャツを掴む。
「だから、顔出したら、また来るって言ってんだろ?」
「それって、いつー?何時ー?」
「あー…そうだな。大体…5時頃、か」
「それまで暇じゃんっ!」
「お、おい、そんなに引っ張ったらシャツが伸びるだろ」
「伸びたら着替えないとダメだね。じゃあ、今から着替えよう!」
「あのなぁ…」
思いっきり大きなため息をつかれて、シャツを掴んで揺らしていた手が止まる。
ここが限界、リミット…だ。
長年の経験から、なんとなぁ〜くそういうのが分かり、不本意ながら手を離す。
「……」
「ったく、しょうがねぇなぁ」
背を向けて靴を履いていた梁太郎が振り向いて、しゃがみ込んでいたあたしの頭に手を置いた。
「帰りになんか買って来てやるよ」
「……1個?」
「お前、夕飯に炒飯作れとか言ってただろ。その上なんか食う気か?」
「物によって、1個でも2個でも食べられるのあるじゃん」
「おいおい、頼むから駅前のケーキ屋はやめてくれよ。ひとりで入る気ないぜ?」
「…ふふふ〜♪んじゃ、ケーキにしよっかな」
「マジかよ…」
ぐしゃぐしゃっと大きな手が髪を乱すように撫でる。
他の人だと乱暴だと思える仕草でも、梁がしてる…と思うと、嬉しく感じてしまう。
「嘘、冗談。それじゃあね、コンビニに売ってる季節限定のジュース買って来て」
「甘い物じゃなくていいのか?」
「うん。その分炒飯食べるから、いっぱい作ってね!」
「了解…」
ぴしっと軽く額を小突かれた反動で、僅かに首がのけぞる。
「それ、痛いって!」
「軽くやっただけだろ」
「もぉ〜〜〜っ…いじめっ子!」
「イジメ甲斐のあるお前が悪い」
「なに〜〜っ!」
怒ったフリして立ち上がると、ふっと梁太郎の表情が柔らかくなった。
「なぁ」
突然なんだろうと思って首を傾げた瞬間、音を立てて頬にキスされた。
「っっ!?」
「…すぐ帰るから、待ってろ」
「あ、う、え…」
「はははっ、お前タコみたいに顔赤いぜ」
「う、煩いっ!梁のせいだもんっ!」
きぃ〜〜〜っと叫びながら梁太郎の肩を軽く拳で叩けば、その手を掴まれ抱き寄せられる。
「…んっ」
「んー!?」
有無を言わさず…という感じで重なった唇。
段差のおかげで、普段感じる身長差も今は感じない。
どれだけ時間が経ったかわからないけど、こつん…と額が重なって、梁太郎が軽く舌打ちした。
「やべぇ…」
「……?」
「…出掛けるの、今度は俺が嫌になりそうだ」
はぁ〜…と大きくため息をつきながら、手を離して今度は自分の頭を苛立たしげに欠く。
「しょうがねぇ…さくっと行って来るから、待ってろよ」
「うん…」
「…じゃ、行って来る」
「行ってらっしゃい…梁」
「あぁ、またな…」
パタンとドアが閉まる音を聞いて、その場にずるずるとしゃがみ込む。
無意識に辿る指先は、ついさっき触れていた唇の温もりを確かめるように動いた。
「…早く、帰って来てね」
そうしたら今度は…あたしから、おかえりのキス…してあげる。
こちら、同内容…というか近い内容のものがボツであります(笑)
それは日記の小話にでも載せましょうか、勿体無いから。
本当はボツ部屋作ろうかと思うんですが、その準備をしてる暇がないので、その場合はブログを使うせこい私。
時が経てば作ってるかもしれませんがね…(苦笑)
面倒見のよい土浦くんの帰りを玄関先で尻尾振りながら待っている図でございます。
とはいえ、帰宅まで時間があるのでそれまでは普通にゲームしたり本読んだりしてると思いますが、時間近くなると玄関で待ちそうです。
ドア開けた瞬間、飛びついたら…土浦くんと一緒に遊びに来た誰かとかだと面白い(笑)
…あれ?この小話の感想というか、コメントになってないっすね(苦笑)